前回までの話はこちら。
第1話はこちらです。
ノンフィクションです。
約3年かかって、やっと直接伝えた「子供を産みたいです。」
清水の舞台から飛び降りるような覚悟で、言ったのに。
「それはもうご本人に言うしかないでしょう」と神妙な顔で言う上司。
(どうしよう、このままじゃ、「あなたの子供を産みたいんです」だなんて、言い直せない。ピンチ…)
そう、「あなたの、子どもを産みたいです」と言わないといけませんでした。
でも正直、あなたの(○○さんの)だなんてそこまでハッキリと言う勇気が、私にはありませんでした。
濁しちゃった。雰囲気でわかってよ(涙)察してよ(祈)と思いつつ…
上司は超絶鈍感な男性でした。
男性の中には、どうしてこうも鈍感な人が存在するのか?わざと?わざとボケてるの?と思い、顔を覗くと、
どうも真面目顔。超絶真面目顔。なんなら一生懸命「うーーん」と目をつぶりながら腕組んで考えてくれている様子。
どうしたものかねぇ、困りましたねぇ、と真摯に向き合ってくれる上司に
私は言いました。
「なんて言えばいいでしょうか?男性ならなんて言われたらいいですか?」
しばらく考えて
「率直に伝えるのがいいと思いますよ。」という、前置きの後、
まさかの “今日、私が上司に伝えたかったこと”を仰ってくださいました。
あなたの子供が産みたい、と、もうずっと思い続けています。
言おうか、どうしようか、何度も悩みました。
驚かれたかもしれませんが、
あなたならちゃんと受け止めてくれるんじゃないかと思って、
伝えることにしました。
あなたの子供を産んでみたいんです。
上司の口から朗々と、本当は今日、
私が伝えたかった私の気持ちを、
上司が代弁してくれている。
それは本当に唐突で、驚くとともに、嬉しくて、心が"ポーッと"なってしまいました。
時間にして1分にも満たなかったと思うんですけど、夢のような、私は無防備に聞くしかなく、とても深くて長い時間に感じられました。
正直、あのとき彼がどんな言葉をかけてくれたのか「はっきり」とは覚えていないんですけど、上司との思い出の中で間違いなく「あの瞬間」が私にとってのハイライトです。
続きます。